北京現象 ‘06 チャイズム 陳列様式 Daily Installation Do Inside Yourself 複製変異 Gridded Frontier 波状矩形 Hand Made City 高架下プラザ リアルカタログ 流浪するシステム スモークアイランド現象 ソトニケーション 为什么我们非要搬家? ![]() 为什么我们非要搬家? 僕の名前は李翻謎。父ちゃんと母ちゃんの3人で暮らしてる。 僕らは今、工事で壊される前の誰もいなくなった家に住んでる。僕らの家はあまり長く住んでると壊されちゃうからよく引っ越しをする。いろんな家に引っ越ししたけど、ほとんどの家は暖かいし、雨も降ってこない。でも、今の赤い家は窓が無いからちょっと寒いんだ。雪が降る前に引っ越そうって父ちゃんが言ってくれた。そうそう、ちいちゃい頃は夜が真っ暗で静かだからちょっと怖かったけれど、今はへいちゃらさ。だけども一ヶ月に一遍くらい怖い人たちが来て、追い出されちゃう。あいつらは僕らを見るとすぐ怒鳴るから、嫌いだ。 今日いつものビルで日なたぼっこしていたら、張おじさんがやってきた。張おじさんは、いつもお酒の匂いで臭いし、言っていることも時々よく分からないからあんまり好きじゃないな。でも今日の張おじさんは綺麗な服を着て、あの長く伸びてたひげを剃っていたから、びっくりした。 「哎、翻迷」(おい、翻謎) 「那个?叔叔,那个衣服漂亮」(あれ?おじさん、その服綺麗だね。) 「哈哈哈。人要是认真工作的话肯定会有好的回报的,翻迷呀,我已经不搬家了,你爸爸为什么还在搬家哪」(ハハハ。人間真面目に働いていれば良いことがあるんだよ。そんなことより翻謎よ、俺はもう引越しをやめたぞ。お前の父さんは何故まだ引越しをしているのだ) 「诶!如果不搬的话,住的地方也要被破坏掉呀,多危险呀」(ええ!?引越しを止めたら住む家が壊されちゃうじゃないか!危ないよ!) 「哈哈哈哈。街上不是还有没被拆除的房子吗,回家问问你爸爸啊,待会见了」(アッハッハッハッハ。街には壊されない家だってあるんだぞ。帰ったら父さんに聞いてみな。じゃあな。) だから今日僕は夕飯の饅頭を食べてから父ちゃんに聞いたんだ 「为什么我们非要搬家?」(どうして僕らは引越しするの?) そしたら、父ちゃんは凄い怒った。あんなに怒った父ちゃんを見たのは初めてで、僕は怖くなってしまって、泣いてしまった。もう絶対聞かないようにしよう。 いいんだ、引越しするのは嫌いじゃないし。新しい友だちもたくさん出来る。僕らみたいに良く家を引越しする人って結構いるからね。 でも、ホントに、どうして僕らは家を引っ越すのかな? 引っ越しをしなければ、テレビが買えるのに。テレビは引っ越しのときに持っていけないからだめって前に母ちゃんに言われたんだ。でも僕は絵が好きだから、絵がうまくなりたい。テレビを見てたら、いろんなきれいな絵が見れるからきっと絵もうまくなるんじゃないかな。 そしたら、工場に行って絵を売ろう。あそこの人たちはみんなお金持ちだからきっと喜んで買ってくれる。お金をたくさんもらえたら、僕も張おじさんのように壊されない家に住んでみたい。怖い人たちに追い出されない家に住んでみたい。 あ、もうそろそろ寝なきゃ。今度引っ越す家は暖かいと、いいな。 ![]() 北京には砂混じりの熱気があふれている。 更なる都市化に向けた建築ラッシュを背景に、内側がそのまま露出したような人々の群れに遭遇する。 あらたまった空間に捕らわれないコミュニケーション感覚の特異性から新しい何かを捉えることが出来るかもしれない。 ![]() 北京のゴミは分別されずに捨てられる。 一方で、ゴミを収集している人を、街中でよく見かける。聞くところによると、ゴミの分別によって生計をたてている人々がいるようだ。 彼らはこの都市のシステムの隙間に居場所を見つけた。 彼らのつながりは、常には見えないが、ゴミの売買のような接点が突然顕在化する。 彼らだけでなく、システムが流浪しながら維持されている。 ![]() 左は、倉庫型と呼ばれるような空間を売りにしている外資系店舗の内部である。 右の北京市内にいくつもある建材城は、中国がかつて世界の工場と呼ばれていた時に、B級品を売るために作られたものである。 それぞれの空間に至るプロセスは違うのだが、どこか似てはいないか。 左右ともに、並べて売るというルールを顕在化しただけで、わくわくする空間が生まれていることに、中国的状況に潜むであろう、凄みの一端を垣間見た。 ![]() 北京の主要な交差点では東西、南北方向のバイパスを積み重ね、地上面にあった自動車を空中に持ち上げている。 その結果、エコロジカルな移動手段である徒歩、自転車、ロータリーバスなどが、高架下に残る。 まるで、ヒルベルザイマーの垂直都市に描いていた歩車分離の反転現象のようである。ここから新しい魅力を持った都交差点が生まれるかもしれない。 ![]() 出来上がる建築の種類を問わず、建材の加工が現場で行われる。 非効率かもしれないが、人の手が参加することで可能な建築がある。 勿論、建築に限らずとも材料から完成品までを人と人とでつないでいく過程に、「Hand Made City」を見た。 ![]() 建築と都市との間の距離はどれ程離れたか? 北京でその問いを発したものはほとんど必然のように紫禁城へと、つまり風水的思考へとたどり着く。 しかし同時に、激変する北京において風水ではもはやこの都市も建築も語れないことにもたどり着き、言葉を失うだろう。 昔北京を南北に貫いていた軸線の北の止まり、鼓楼に登ったときに伝統的住居、四合院と都市の構造はやはり今でも緩やかに同じ骨組みをなぞっていることに気がついた。 その骨組みは、時代とともに変化するが、常に意味を変えて残っている。 四合院は次々と新しく建てられ、増築もされていったが、今でもその四方を壁で閉ざす平面構成は生きている。 都市の枠組みを形成していた城壁は二環という環状道路となり、都市は外へと広がった。 しかしそれは新しい枠組み、三環、四環が形成されるきっかけになったようだ。 私たちはこの北京の家と街を緩やかに接続する不定の骨組みを、「波状矩形」と呼びたい。 ![]() 左は、完璧な北京の模型を前にした親子の写真である。 右は、その模型に含まれているマンションである。 ところが、投資目的が先行していて買い上げられるため、夕方になってもなかなか住戸に灯りがつかない。 北京は単純な開拓地ではない。 この国の制度と北京の都市計画は他の場所では巡り会えない。 それらが交差することで、この都市はつくられる。 北京を、線引きされた開拓地、「Gridded Frontier」と呼ぶことにした。 < 前のページ次のページ >
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